2009年6月19日金曜日

上棟


土台に長ホゾの柱が立てられていきます。
長ホゾとはもちろんのこと、土台を貫通して、土台の底まで柱の芯材が届いている事です。
全てが折置組といって渡りあごという仕口で組合わさるため、柱の長さやホゾの向きがばらばらです。
とても複雑な構成になっていて、一種のパズルですね。


図板に法って、クレーンでつり上げる順番を考えながら玉掛けして行きます。
中央でノミを入れているのは、急遽丸太梁のところにダボ栓を入れる事になり、角穴を彫っています。
乾燥とともに丸太が動いてくるのを防止するためです。


カケヤで2本つなぎのところをはめ込んでいます。
追掛け大栓継ぎと言って、直線状に材をつないで行くときによく使われる仕口です。
最近、リビングなどの空間の上になるところは、金輪継ぎという仕口で、材が収縮してきても間隙が空かないような方法にしています。


敷地に生えていた栗の木を丸太梁として用い、その上に二階台が組み上がっています。
丸太に渡りあごを組んで行くのは、高さの関係がとても難しいです。
今回も栗の丸太は、アルカリによって灰汁出しを施しています。


無事上棟が済んで、屋根の垂木まで取付けられました。


何回見ても、整然と並んだカラマツの垂木は美しいです。


棟木と垂木の取り合いです。
棟木に垂木を大入れで彫り込んで落としています。
普通は上普請で行われるやり方ですが、風の森では並普請、安普請でも同じように手間をかけています。


化粧野地板張り。
いつも釘打ち機でやっていますが、残り時間わずかでもあり、一気に思いを込めた手打ち釘にて締めています。
今どきの現場ではあり得ない光景ですね。


一日の終わりに、清めの儀式です。
身を守り、人生を守ってくれる城が出来上がって行きます。

お施主様の一言、「あと20年も生きられれば良いと思っていたが、出来上がって行く様子を見て、あと100年生きたいと思った」とのことです。

還暦を過ぎて、大地との格闘の末、基礎工事を完工し、今日のめでたい上棟の日を迎え、感慨ひとしおの事と思います。
お金で済ませてしまえば、それまでの事ですが、この体験に代えられるものは無いと思います。
私を始め風の森の大工は、自分の家を建てる事でこの道に入ってきた人がほとんどなので、「セルフビルドの勧め」を社是に加えています。

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